2015柴又100Kウルトラマラソン参戦記 その③

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2015柴又100Kウルトラマラソン参戦記 その②

いよいよ初ウルトラマラソン本番へ

本番直前のランニング

77キロ走に成功したのが本番1ヶ月前。そこから翌週末はゆっくり30キロ、レース2週間前の週末に54キロ走を実施して長い距離の練習はすべておしまいにしました。
そこからは平日朝の15キロはそのまま、週末も15キロ、どちらもスピードは抑えてとにかく疲れを溜めないように気をつけました。5日前くらいからは10キロ前後を本当にゆっくり。
レース直前のランニング

本番直前の食事

食事については、ネットでウルトラマラソン直前の食事について調べてみたのですが、カーボローディングは有効であるという意見とそもそも走っている途中でエネルギー足りなくなっちゃうんだからカーボローディングよりもレース中に摂る栄養の方が大事という意見があり、フルマラソンのように「これが決定版!」的なセオリーは見当たりませんでした。
私は食べることとビールを飲むことが大好きなので、食事に制約を加えられるのは少し抵抗あるなあと思っているところもあり、とりあえず1週間前くらいからお昼ごはんに大盛のうどんを食べること、夜のごはんをお茶碗半分くらい増やすこと、あぶらっこいものは少しだけ減らすこと、ということだけを心がけました。
あとは100キロ走った後のご褒美感を楽しむために、大好きなビールと甘いものは1週間我慢することにしました。

そんなこんなでレース前日のコンディション、身体の疲れはほとんどなく体重55キロ、体脂肪率7%とほぼベストな状態になっておりました。
体重計に乗った時、「あー、この数ヶ月いろいろ頑張ってきたなあ」っていう想いがこみ上げてきて、レース後よりもなによりもこの瞬間が一番感慨深かったと思います(笑)

前日は新宿で宿泊

レース会場は東京柴又。私も東京在住なのですが、スタートの7時に余裕を持って会場に到着するためには4時台の始発に乗ってギリギリ。
直前にバタバタするのは嫌だなあと思ったので、前日は新宿のカプセルホテルを予約し、朝はそこから会場に向かうことにしました。
就業後、夕飯として大盛のうどんを食べ、カプセルホテルにチェックインし、大浴場の大きな湯船にかるく浸かった後にもう一度大会要項を確認して10時には横になりました。

レース当日

いざ会場へ

前日宿泊少し緊張していたのと「決して寝坊してはいけない」という気持ちもあって眠りはものすごく浅かったと思います。途中で目が覚めたりしても頑張って目は閉じて、3〜4時間はうとうとできたでしょうか。4時位に目が覚めたタイミングで起き、前日コンビニで買っておいたおにぎり2個と大福1個を食べて支度をし、5時前に新宿を発車する山手線の始発に乗るべく出発をしました。

前日から降り続いた雨、予報では夜中の間に止むということだったのですが出発した時点ではまだ少し霧雨として残っており、気温も低め。
それでももう少ししたら止むかな、太陽が上れば気温も上がるかな、と期待を込めて会場に向かいました。

山手線から日暮里で乗り換えて京成線へ。周りはランニングルックの人たちでいっぱいになり、否が応でも気分が高まります。

6時前に柴又駅に到着。雨はなかなか止む気配を見せず、しとしとと降り続いています。
あーあ、と思いながら参加者の流れに従って帝釈天参道を通りレース会場へ。
会場へ向かう道

寒い!

会場へ到着すると既に結構な人。
そして会場は川沿いということもあるのか風も強く、肌寒いを通り越して寒い!
暑さ対策は考えてきたものの、寒さ対策は全く考えてこなかった私はTシャツとランパン姿に着替えた後、ガタガタ震えながらひたすらスタートの時間を待つと同時に、せめて雨だけでも早く上がって欲しいと天に祈ります。
寒い寒い会場

そんなこんなでスタート10分前くらいになると、スタート地点への集合がかかります。
寒さで身体こわばっちゃっているし大丈夫かなあなんてちょっと不安に思いながらスタート地点に整列。人が密集すると寒さも少し和らぎちょっとほっとします。周りを見る余裕も出てきて見渡すと、比較的高齢と見受けられる方々も結構いらっしゃる。自分もそういう年齢になっても元気に走れる健康な体でいたいなあなんてしみじみ思っているうちに7時になり、いよいよ陸連登録者の選手がスタート。
そしてその3分後、いよいよ私の初めての100キロマラソンが始まりました。

天候回復!身体も動く!!

今回のペースの作戦は、前半50キロはキロ5分40秒、後半50キロが6分。前半に少し貯金を作って後半粘る計画でいました。
フルマラソンのレースなどでは自分に合ったペースの人を見つけてその人にある程度ついていったりといったことをするのですが、今回はとにかく手元のGPSウォッチでペースを把握し、自分でペースを作ってそれを守りぬこうと考えておりました。

そうそう、今回の装備としてはウエストポーチに補給用のサプリメント(前半50キロ分)とジップロックに入れたiPhone。普段走る際には愛用のGPSウォッチ、ガーミン ForeAthlete 220jを利用しているのですが、220jの電池が保つ時間は約10時間と説明書に書いてあったため、電池がもつ間はガーミンに頑張ってもらってペースを確認するのに利用し、最悪途中で電池切れてしまっても細かいラップ等は最後まで記録したいので、スタートと同時にiPhoneのNike Runningもスタートさせてウエストポーチに入れておくことにしたのです。
ちなみに後半分のサプリメントは47キロ地点で受け取れるドロップバッグの中に入れておきました。

さてさて、そんなこんなでスタートすること15分、しとしと降って我々の身体を冷やしていた雨がようやく上がります。そして雲の切れ間から光が差し込みはじめ、体感気温はぐんぐんあがっていきます。北風はまだ強く、これが北上を続ける我々にとっては結構困難だったりするのですがとにかく気温が上がるだけでも気分は全然違います。走っていてとても楽しくなってきます。
足もよく動きます。

ただ、今までの練習から、前半身体が動くと思って快調に飛ばしてしまうと後半でぱったり足が止まってしまうという経験をたくさんしてきているので、とにかく抑えめを心がけます。
それでもやっぱりレースの雰囲気や周りのペースもあって、5分40秒ペースのつもりが5分30秒くらいに。
大丈夫かなあとちょっと不安はあるものの、身体は軽いし天気はいいし走っていてとても気持ちいい。声援を送ってくださる方々、そんなにたくさんいるわけじゃないけどすごく一生懸命応援してくださって、それも後押しとなり。
とりあえず気分の良さに乗っかって、リズムに乗っていけるところまで行ってしまえと思うようになりました。

中間地点通過!そして。。。

ほかのウルトラマラソンの大会を知らないのですが、柴又100kはエイドがとても充実していておよそ2.5キロごとにエイドがあります。水、スポーツドリンク、オレンジジュース、コーラ、協賛企業のココナッツジュースやアミノバイタル、アンパン、おにぎり・・・etc. とにかくエネルギー補給には事欠かず、手持ちのサプリにあまり手を付けることなく定期的に栄養補給をしながら走ることができました。

今回のコース、メインは江戸川の河川敷なのですが、中間点付近で一般の道を少し走行します。そして中間50キロの手前、47キロ地点、茨城県は五霞町にあるエイドステーションではスタート時に預けたドロップバックを受け取ることができる大きなステーションになっています。
そこまでかなり順調快調で到着することができ、ドロップバックを受け取り、Tシャツを着替え、後半用のサプリをポーチに詰め替え、茨城のとてもおいしいスイカを頬張り(生き返りました!!)リフレッシュ。後半戦に向かって気持ちよく旅立つことができました。

そしていよいよ中間点50キロ通過。川沿いにはまだ復帰せず、
五霞町付近
こんな感じののどかな一般道を走ります(写真はGoogle Mapsより)
50キロの通過が4時間43分、貯金を17分ほど作っておいたことになります。

身体の調子も疲労もまだそれほどではないと感じ、「さあ、ここから粘るぞ!」と気持ちを切り替えます。

ターニングポイントは突然に

50キロを過ぎ、一般道から川沿いへ再びコースが移り、東京へと向かっていく矢先の55キロ、突然足が重くなりだします。
これはトレーニング段階でもよくあった感じ。エネルギー切れとかそういうのではなく、疲労が蓄積して足が動かなくなってしまう感覚。
後半のどこかでくるとは思っていたのですが、まさかこんな早い段階で来るとは思わず。前半やっぱり少しオーバーペースだったかな、とちょっと反省しつつも今となってはどうしようもないし、また、この手の状態は波があるのでしばらく我慢していればまた復調するに違いないととにかく貯金を使わないよう、最低6分は堅持するよう自分に言い聞かせ粘ります。

こういうとき、ちょうどいいペースのランナーが近くにいればその方についていって少し楽しながらペースを維持することも可能なのですが、折り悪く前後にはまったく人の気配がありません。
1500人ほど参加しているはずなのですが、100キロの区間ともなり、かつ後半戦、それぞれのランナーが能力に従ってばらけてくると人口密度がとても低くなるんですね。びっくりするほど人がいない。普段一人で練習しているときと変わらない状態。
これがなかなか辛い。もちろん応援の方はときおりいらして、そして声をかけてくださるのですがなかなかペースはあがらない戻らない。
5分45秒、50秒、55秒・・・とキロを刻むごとにリミットの6分が近づいてきます。

結局ペースが回復していかないまま63キロ地点でキロ6分が決壊します。そして一度堰を切ってしまうと気持ちもがくっとなってしまうもので、6分30、6分40とどんどんペースが落ちていっていまい貯金をどんどん食いつぶしていく状態に。

それでもなんとかまだサブ10の希望は全然残っている、我慢していればかならずペースは戻ると気持ちを奮い立たせ、ただひたすら前を見つめて走ります。
そして70キロ、ようやく疲労の波が落ち着き復調の兆し、キロ6分をきれるくらいのペースに戻せそうになってきた!!と思ったところで、今度はまさかの両足の腿の痙攣が襲ってきます。
スピードを出そうとすると足がつりそうになる。

まだ練習で経験している範囲内の距離なのにどうしてこんなにしんどいのか。
やっぱり前半オーバーペースだったか。
調子に乗らないでもっともっと抑えて走ればよかったか。
後悔と貯金を食いつぶしていく焦りとで頭のなかがぐるぐるしだします。

長い長い20キロ

結局80キロ地点ですべての貯金を使い果たしてしまいます。
ただもうこれは仕方ない。これでしょんぼりしてゴールするよりは、今から目標を再設定して笑顔でゴールしたいと、目標を10時間30分に切り替えてそれを切ろうと足を進めることに。

77キロ以上は未知の距離、しかも疲労は頭の先から足先まで、そして内臓にいたるまでしみこんでいます。
「走るんだ」と意識しないと走る体勢を維持できないような感じ。
「止まりたい、休みたい」という気持ちとの戦い。

さらに道中、疲れ果ててしまったのか川沿いのくさっぱらで力尽きてしまっているランナーを何人もみかけ、「ああ、これがウルトラか」と思うと同時に、自分ももうこの場で倒れこんでしまいたい、そこまでいかなくともせめて歩いてしまいたいという誘惑が次から次へとやってきます。

行きに北風だった風向きが午後になり今度は南風に風向きをかえ、ずっとずっと向かい風として我々を苦しめるし両足は相変わらず痙攣したままだしもうサブテンは無理だし朝あんなに寒かったのに今はこんなに暑いし、いつの間にかすごい日焼けしていて顔から腕から足からヒリヒリしているし昨日は全然眠れてないし。

どんどんどんどんやめる理由が頭をもたげてくる。
ペースは相変わらず上がらない。でもまだエイド以外一度も立ち止まってない。
そしてこのまま「歩かずに走りきったよ!!」という満足感だけは絶対に得たい。
何がなんでも得たい。
そう思って足を前に進めます。

あとはとにかく気持ちを和らげるために、応援してくださってくれる声に対して、できるかぎりの笑顔を作る。疲れていて下ばかり向いてしまうのもよくないと思って、声援をいただいたら笑顔で返してそのまま前を向く。

ただのちょっとした話の種づくり程度で申し込んだ100キロなのに、どうしていまこんなにアスリートみたいなメンタリティになっているんだろう。
なんだか自分でもちょっと面白くなってしまいながら、前に進みます。

念願のゴールへ

90キロのエイド。
「おつかれさまです!!スイカいかがですかー!!」
エイドの方の神の声。
この状況でスイカ以上に美味しい食べ物など存在しないでしょう。
貪るように30秒ほどで3つスイカをたいらげ、ラスト10キロのエネルギー充填。
「ごちそうさまです!がんばります!」と自分にも言い聞かせるようにエイド出発。

あとは念仏のように「いつも朝走る距離よりもう遥かに短い」と唱えながら走る。
この距離はいつものあのへんだよと思いながら、走る。
爪楊枝のようにしか見えていなかった東京スカイツリーが、もう間近に見える。
もう東京だよ、戻ってきたよと思いながら、走る。

我が相棒、ガーミン220j、80キロ過ぎくらいから「電池容量が少なくなってきています」って腹ペコサインを何度かだしつつも意外にもってくれているなあと思っていたけど、97.9キロ、残すところあと2キロ強の地点、10時間7分14秒でついに完全に電池切れ。突然ぶつっと表示が消えてしまいます。
ごめんなあ、もうちょっと速く走れていたら、目標通り10時間切れていたら一緒にゴールできていたのになあ、次は頑張るからなあ、なんてちょっと感傷にひたりながら、とにかく走ります。

そして99キロ。
もう足の感覚も身体の感覚もよくわからない、疲れているんだか疲れていないんだかもわからない。でも前に3人ほど先行するランナーが見えたので、この人達はせめて抜いてやろうと最後の力を振り絞る。

ラスト300メートル、フィニッシュゲートが見えるくらいで3人を抜いて
「おいおい、こんな力出るならもうちょい手前でも頑張れたんじゃないの?」なんてちょっと複雑な気持ちにもなりながら、そんなことよりとにかくあそこまで走りぬく、走りぬいて止まって休む、ビール飲むケーキ食べると全力疾走。

やりきりました。
柴又100k ゴール

速報タイムは10時間27分21秒。
10時間半は切れました。

これはずっとポーチに入れていたNike Runningの結果。
柴又100k結果
トイレなどで立ち止まったときには自動でとまる設定にしていたので、実際のタイムよりも短く出ています。

ちなみにこちらが、残り2キロで力尽きてしまったガーミン。
電池が切れてしまったのでデータは保存できていないんだろうなあと思っていたのだけれども帰宅して充電したら、なんと電池が切れる直前までのデータをきちんと保存してくれていました!なんて健気。
ガーミン220jの結果ガーミン220jの結果

レースを終えて

ゴール後は参加賞の日差しよけ(自分のを持っていたから別に朝もらう必要なかった)と高木屋老舗の柴又もちをいただいて、駅までの道のりの途中にある帝釈天に寄って、朝はじっくり見られなかった寅さんの像を見学して帰ってきました。
帝釈天寅さん

帰りの電車ではもうボロ雑巾にようになっていたけど、家に帰ってシャワーを浴びてさっぱりして、1週間我慢した油物と甘いものとビールを同時に食べ、そしてその後気を失うように眠って長い長い一日が終了しました。

その後13時間ほど昏々と眠り続け、目が覚めて身体を起こしたらびっくりするくらいの筋肉痛になっており、とてもじゃないけど歩ける状態ではありませんでした。
土曜日開催にしてくれたことを心から感謝した瞬間でした。

サブテン達成できなかったのは残念だけど、去年の灼熱に比べたら絶好のコンディションの中でこのタイム、オーバーペースだなんだって思うところもあるけどもこれがいまの実力だったのかなって思います。
そして今回実際に100キロを走りきったからこそわかったこともたくさんあるので、それをいかすことができたらまた次はもっと良いタイムがでるのかな、と。

そして、なによりこの100キロ、辛かったけどめちゃくちゃおもしろかったです。楽しかったです。トレーニングも含めて。
自分でも理由はよくわからないけど、楽しい。

なのでまたぼちぼち頑張っていこうと思います。

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