北西の強風に南東にかしぎながらのPB、2017いわきサンシャインマラソン

いわきサンシャインマラソン当日。
昨日は22時頃に就寝、5時30分にアラームをセットしたものの4時30分に目が覚める。
ホテルの朝食は6時から。レース3時間前に食事を済ませるというのがセオリーって言うけれども、ホテルの朝食を放棄してまで守るべきルールでもないかなと思って、いただくことに決めていました。
そうするとまだ時間は全然あるのでそのままベッドでごろごろして時間をつぶし、5時半にベッドから出て熱めのシャワーを浴びて身体をぽかぽかに温めてから朝食へ。

セルフサービスでいろいろ選べたのですが、お米中心で。心の友納豆ご飯をかなりの大盛りにして食べました。
お米が福島のひとめぼれだったのですが、絶品!!お米も上質だったのと、おそらく炊き方も上手だったんだと思うのですが、ただのビジネスホテルとは思えないレベルの美味しさでした。
次うちでお米買う時は福島のひとめぼれを買ってみようと決意しました。

そして朝食後に大福とグレープフルーツジュースを追加。

いろいろ準備をして、7時ちょうどくらいにホテルを出発して駅前からシャトルバスに乗りスタート地点のいわき市陸上競技場へ。競技場へは8時前に到着しました。
到着してみると、引き続き強風注意報が出ていたにも関わらず微風。ほとんど気にならない。
予報によればちょうどスタート時刻の9時から風が強くなるとのこと。
まあそんなこと言ったってさ、こんな穏やかな感じなのに9時丁度に風が吹き荒れるなんてことはさすがにないよなって思いながら8時10分ごろからアップ開始。
10分程ジョグをして、軽く体操。
8時30分には整列をしないといけないのでささっと済ませます。

8時30分にスタートラインへ向かうと、一番先頭の陸連登録のブロックはがらがら。
その後ろの一般Aブロックはもうかなり人が並んでいるのに。
あら、急ぐ必要なかったなあと思うもアップも終えちゃったしトイレも済ませたし他にやることないので最前列に並びます。
8時45分くらいからスタートセレモニーがあって、その際にゲストの紹介。
女子重量挙げのオリンピックメダリスト、三宅宏実選手が紹介されたあと(小さくて可愛らしくて大変におきれいで眼福でした)、司会の人が、
「なお、本日ゲストランナーとして参加予定だった、エリック・ワイナイナ選手は一身上の都合により参加をご辞退されました」
という旨を放送。
事情をご存知の皆様が多く、会場が一斉に失笑に包まれたのが個人的に本日の一番のハイライト。

そしてその放送があった直後、ほぼ凪だった状況に突然一陣の風がぴうっと吹き、その後強い風が吹きやまなくなる。
ブラスバンドの楽譜が飛び、テントがばたばたぐらぐらと悲鳴をあげだす。
ちょっと周りが騒然とするレベル。
これは間違いなくワイナイナの怨念、と六条御息所並の霊障におそれおののく。

霊障なのか予報通りなのかの議論は置いておいて、結局風が強くなってしまったことにいささかげんなりしたものの、とにかくここまで来た以上走ってゴールするしかないよな、と気持ちを入れ替えます。
そして9時、強風下でいよいよ第8回いわきサンシャインマラソンがスタートしました。

スタート〜5キロ(19’01”)

最前列からのスタートということもあり、とても気楽なスタート。
スタート直後に上り坂が500mほど続くも、入りの1kmが3分50秒程度。
ちょっと飛ばしすぎかなあと思いながら適当な集団を探します。
するとちょうどリズムが合いそうな集団があり、それにつきます。
この集団のペースがだいたい3分50秒を切るくらい。ちょっと速い集団なのですが、風が北西から強く吹いており、スタートから海沿いに出るまでは南下するコース。
それほど風を鬱陶しく感じない、この海までのパートでタイムを稼いでおいたほうがいいとこの速い集団につきます。

5キロの通過は19分1秒。

5キロ〜10キロ(19’11”)

当初の予定では30キロまではキロ3分57秒くらいでいこうと考えていたのですが、引き続き予定よりも速いペースで進みます。
じんわりとお尻のあたりに乳酸が溜まる感覚があり、ここで一旦落とそうかとも考えたのですがこの強風。
下手にペースを落としてこの風の中一人旅になるよりは、集団の後ろで風よけにさせてもらいながら進んだほうが得策と判断。
いけるところまでいってしまえと、覚悟を決めます。

そして10キロの通過は38分11秒。この5キロが19分11秒。

10キロ〜15キロ(18’30”)

12キロを過ぎるといよいよ海岸沿いに。
海岸に出ると、風はより一層強くなります。
風のことばかり考えてしまい、走りに集中できない。
とは言え、この区間は東に進路をとるため、たまに追い風になります。
その間は猛烈にペースが上がり、キロ3分30秒台のラップもおそらくあったのではないかと。
ただ、風は巻いており、追い風になったかと思うと突然強烈な向かい風になったりとペースは安定しません。

それでもこの区間はやや下り基調だったこともあり最速。18分30秒で駆け抜けます。

15キロ〜20キロ(19’36”)

15キロすぎから集団が徐々にばらけはじめます。
どうしようかと思いましたが、この後折り返して強烈な向かい風を受け続けることになるのは必至。
ならば稼げるうちに稼いでおこうと2,3人で形成された前方の集団につくことに決めます。

しかし17キロの折り返し手前、150m程度のトンネルに突入した際の猛烈な向かい風をきっかけにその集団に離されてしまいます。
ただここで一人旅になるのはまずいと、同じく集団からこぼれてややペースダウンした人にくらいつきます。

そして恐怖の折り返し17キロ。
いわき名物、江名港の大応援団がお出迎えしてくれて大変ありがたい気持ちになります。
大漁旗とかは今にも飛んでいってしまいそうなくらいなびいていて、それを必死におさえながら応援してくれます。
応援に応えるべく、覚悟を決めて折り返し。

覚悟を決めていたものの、きつい。
応援の皆様もかなり大きな声で応援してくださっているにもかかわらず、それを打ち消すかのごとき風の音。
とにかく前の人に離されたら終わると思って耐えます。

折り返してペースはがくんと落ち、20キロまでが19分36秒。

20キロ〜25キロ(20’41”)

前の人にくらいついたまま中間点通過。
中間点の通過タイムが1時間21分22秒。
設定よりもかなり速いタイムだけど、風の状況からこのタイムでもサブスリーすら危ういかもと感じます。
しかしとにかく風が身体を押し戻してくるので、これ以上のペースなんて出ません。

そして中間点すぎた直後、いわきサンシャインマラソン最大の難所と呼ばれる、いわきマリンタワーがそびえる三崎公園への急な上り。
500mくらいで50mほどのぼらなくてはなりません。
大減速をまぬかれない上に、今回は坂の上から吹き下ろしてくる強い向かい風。
完全に足が止まってしまって歩く人も出てしまっています。
かくいう私もほぼジョグレベルまでペースが落ち、ついにここでずっとついていた前の人に離されだしてしまいます。
さらに後ろから2,3名のランナーが追い越していきます。
上り坂には比較的強い方だと思っていたのに、この体たらく。自分にがっかりしながらも、とにかく離されるのを最小限にして、公園を抜けた後の下りでなんとか追いつけるようにと必死に上ります。

そしてようやく上りきり、さあ一気に下るぞと思うも下りももちろん向かい風。方角が変わっているわけではないので当然です。
これ、いまこの下りの斜面からジャンプしたら飛べるんじゃないの?って思ってしまうほど風に煽られながら、なんとか離された差を詰めようとします。
先程抜かれたランナーは下りで抜き返しましたが、先程までついていたランナーまでは追いつけずに下りが終了。
ただ、向こうもこの風でそこまでペースがあがっているわけではなさそうで、詰められない差ではない。
今回とても勉強になったのですが、とにかく強い向かい風の中を走ると、自分がどれくらいのペースで走っているのかがまったくわからなくなります。
こういうときは周りのランナーとの相対で自分のペースを推測するしかありません。
なので、これ以上離されないという目標を立ててなんとかペースを維持します。

25キロまでの5キロは20分41秒。いよいよ貯金を使い出しました。
ただこの程度の吐き出しで済んだのは頑張ったほうだな、とちょっとほっとします。

しかしながらこの風地獄絵巻、今までは単なるプロローグにすぎず、本編はこれからだったということにこの後すぐに気が付かされます。

25キロ〜30キロ(21’46”)

25キロ付近で、ゴールのあるアクアマリンパークを一度通過します。
ゴール地点でもあるのでものすごい人垣で応援してくれます。

そしてそれと同時に、これまでに経験したことのないレベルの向かい風にも迎え撃たれます。
ここまでも確かに向かい風はかなりひどかったのですが、風が吹いてくる北西方向は地形的に山などの遮るものがありました。
ただ、マリンパーク以降、北西方向に何もなし。完全にひらけます。
というわけで、風も全力。
そして後から気象庁のサイトで見たのですが、小名浜近辺はちょうどこの時間最も風が強くなっており、最大風速は17m/sだったとのこと。

なんていうか、もう、強烈。
やめてやめて、ほんと、海に落ちるからやめて、って思いながら足を前に出すだけで精一杯の状況。
北西から風が吹くので身体が南東にかしいでいます。
ものすごい声援で、いつもだったら苦しくても笑顔で応えたり、せめて手をあげたりとできるのですが、そんな余裕が微塵もなく。
申し訳ないなあと思いながらもどうしようもなく、ひしゃげた顔、苦悶の顔で南東に傾いたまま人垣の間を抜けていきます。
写真撮ってもらっていたんですけど、風強いのは写真だとわかりづらいですね。
髪の毛とおばさんの服は間違いなく南東になびいてます。

そしてマリンパークを抜けると、だだっ広い工業地帯の産業道路に出ます。
遮るもの一切なし。
もうずっと風。ずっと風。
初めて知ったのですが、風って止まないんですね。
風って、もっと吹いたり止んだりするものだと思ってました。
一時的に向かい風でも、楽になる瞬間はたまにあるのだと思っていましたが、止まないんです。
もうずっと風。ずっとすごく強い向かい風。

工業地帯でぽっぽと吐かれる白い煙もずっと南東方向に横倒し。
私もずっと南東方向に横倒し。

上位陣でもさすがに心をバキバキに折られた人が出始め、歩きだす人、ほぼ歩きに近いペースにまで落ちる人が。
こちらも感覚としてはほとんど前に進んでいる感覚がなく、10分後は我が身と戦々恐々しながらそういう人たちをパスして進みます。

私ももちろんかなりのペースダウンをしている感覚があり、心も大概折れていたのですが、これ以上気持ちの低下を招いたら確実に終わると思い、27キロ地点くらいでもう時計を見るのをやめます。
30キロと40キロのラップだけは確認しようと決めて。

30キロ手前くらいで、三崎公園の手前までつかせてもらっていたランナー、そしてそれ以前に集団の先頭を切って飛ばしていたランナーを拾います。
ペースは相変わらずジョグレベルの感覚なのですが、最低ラインのペースはキープできているのでしょう。

とにかく風に耐えるだけ、それだけを意識して30km。
この5キロが21分46秒。時計を見ると30km通過がちょうど2時間。
ペースはキロ4ジャスト。

普通の状態だったら、ここから50分切りを目指したと思います。
が、ここから残り12キロ、この環境下でキロ4キープなんて無理。

せめてサブスリーではゴールしたいと完全に弱気モードになりますが、それでも最低ラインの目標でも作らなければ足を止めて歩き出してしまっていたでしょう。

30キロ〜35キロ(22’24”)

31キロ過ぎから、このコース2番目にして最後の難所、小名浜の工業地帯西側の丘陵折り返しアップダウン。
三崎公園ほど急峻ではないですが、1キロほどにわたる上り下りを折り返しを挟んで2度繰り返さなくてはなりません。

ほとんどペースが上がらないまま上り坂に突入、とにかく沿道の声援だけを励みに足を前に出します。
消耗しているときの坂は本当に長く感じます。
このままずっと終わらないのではないかと思いながら、沿道の方の「坂ここで終わりだよ!」の声。
あ、終わった。ここからはしばらく下りだ、と思うと同時に風。もう地獄。
下り坂でも下りに感じられません。

ここで折り返してきた先頭ランナーとすれ違います。
見ると、先頭ランナーもかなり苦しそうでペースダウンしています。
ひどいもので、あ、先頭でもこうなふうになっちゃうんだって思ったら少し元気がでてやる気を取り戻します。

坂を下りきって折り返し、最後の長い上り坂に入ります。
ちょうどここで後ろからきた一人のランナーに追いつかれ、追い抜かれます。
もうペースを参照できる人はこの人しかいないと思い、つけはしないけれども離されないように頑張ります。

足的にもここらあたりで辛さのピーク。
もうスムーズには動きませんが、ここで我慢しなかったらもうこの後我慢するところなんてないよと思いながら我慢。

ここではもう時計は確認していませんが、後から確認するとこの5キロは22分24秒。
ひどい落ち込みようでした。
おそらくこの時点でチェックしていたら、サブスリーすら諦めて、本当にジョグになってしまっていたと思います。

35キロ〜ゴール

35キロで坂を上りきり、あとはもう下るだけ。
そしてここからは方角的にほぼ追い風。
ようやく風以外のことに意識が向けられます。

時計も見ていないし、どれくらいでゴールできるかはわからない。
でももうここからはとにかく頑張って足を動かそうと決めます。

37キロくらいまでの下りで、先程僕のことを追い抜いたランナーを再度抜き返します。
40キロ手前くらいでもう一人。

そして40キロ通過
時計を見ると2時間44分9秒。
レース後のチェックだとこの5キロが21分20秒。
もう50分切りは無理だけど、キロ5分かかっても55分は切れる。
追い風になったし、いけると鼓舞してラスト2キロ。

行きは地獄のようだったゴールのアクアマリンに続く産業道路へ再び突入。
まっすぐな直線、先には2人の先行ランナー。

なんとかあの2人を抜こうと最後の目標として掲げます。

手前の一人はかなりペースダウンしてしまっているようで、すぐに追いつき追い抜きます。
もう一人は同じくラストスパートに入っているようで、少しずつ詰めてはいるもののなかなか差が縮まらない。

でもそのランナーに追いつきたいという気持ちをなんとか保ちながら足を回転させます。

頑張りましたが、結局あと80mくらいでしょうか。追いつきませんでした。

前後にランナーがいない状態だったので、放送で名前を呼ばれて拍手されながらのフィニッシュ。
なんか、勝ったわけではないし、タイムに満足したわけでもないけれどもこんなに暖かく迎えられたらガッツポーズのひとつでもしないと悪いじゃないかとやや戸惑い気味にガッツポーズでゴール。
ありがとうございます。

ゴールタイムは手元で2時間53分14秒。正式にはネットタイムで15秒、グロスで16秒でした。

ベストは3分ほど更新し、それ自体は喜ぶべきことですが、やっぱり「この風がなかったら」と思わずにはいられないコンディションでした。
ただまあ、こればかりは仕方ない。
もう少しいけたかも、という気持ちをプラスに、残った悔しさを糧に、次また頑張ろうと思います。

そして何よりも、この猛烈な風と寒さの中応援してくださった沿道の皆様には頭が下がります。
最後まで走りきれたのは間違いなく沿道の皆様のおかげです。
このポストを読む人は少ないと思いますが、本当にありがとうございました。

ゴール後(余談)

記録証を発行してもらい、ゴールブースを抜けると相変わらずの猛烈な風。
こりゃ休まるものも休まらんと思い、私服に着替えずジャージのまま駅行きのシャトルに飛び乗り、駅へ。
この寒さと風で、ほとんど汗かかなかったしまあいいやと。
そして駅でおみやげと駅弁とビールを買って特急へ。
特急でぷしゅっとビールを開けたところでようやく、終わったーっていう安堵感。

帰りは上野でお惣菜買って、帰宅。
マラソン走った日の夜は何を食べるかって、タンパク質でもアミノ酸でも消化にいいものでもなく、当然身体に悪いものです。
脂っこいものとお酒を消耗しきった身体に突っ込みます。

ウイスキーも飲もうと新品を買ったのですが、その前に気絶するように寝ていました。

2017 第8回いわきサンシャインマラソン Result

2:53’15”
ランナーズアップデートによるラップ
5km 00:19:10
10km 00:38:29(0:19:19)
20km 01:17:01(0:38:32)
中間  01:21:22(0:04:21)
30km 02:00:03(0:38:41)
40km 02:44:09(0:44:06)
Finish 02:53:16(0:09:07)


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