前回:初サブスリーへの道のり⑤〜距離を克服、まさかのハーフでの好走から続く
走り込み不足によるツルマラソンでの失敗、そして府中多摩川ハーフマラソンでの好走を経て、遂に2016年12月11日、第7回奈良マラソンを迎えます。
奈良マラソンは「上りか下りか、とにかく坂しかない」と表されるほどアップダウンの多いコース。まあこれはいささか誇張されておりますが、それを差し引いても都市型マラソンの中では難コースに入る部類であることは間違いありません。
じゃあなんでわざわざ難コースのレースを選んだかというと、ただ単に私が奈良に馴染みがあるから。
そしてそもそも奈良マラソンのエントリー開始時期、2016年5月の時点ではここまで本気になってマラソンに取り組むことになるとは思っていなかったので、ファンランのつもりで申し込んでいました。
記録を出すには難しいコース。それでもここで目標を達成しておかないと、次は翌2017年2月のいわきサンシャインマラソンまでおあずけになってしまいます。
夏からむきになって取り組みだし苦しい練習も我慢してこなしてきている中、さらに2ヶ月も成果が得られないというのは気の短い僕には我慢できそうにありません。
難コースだろうがなんだろうが、ここでなんとか3時間を切ってやろう、そういうモチベーションで臨んだレースでした。
8日前からテーパリング開始。
レースまでは以下のようなメニューをこなしました。
8日前 | 10kmペース走 38’49″(3’53″/km) |
7日前 | 12kmジョグ(5’37″/km) |
6日前 | 10kmジョグ(6’03″/km) |
5日前 | 5kmアップジョグ 2000mペース走 7’42” 5kmダウンジョグ |
4日前 | 11kmジョグ(5’31″/km) |
3日前 | 10kmジョグ(5’28″/km) |
2日前 | 8kmジョグ(5’23″/km) |
1日前 | 5.5kmジョグ(5’13″/km) |
8日前の10kmペース走と5日前の2000mを除けば、ほとんど疲れが溜まらないペースでのジョグ。
そのジョグも徐々に距離を減らし、それに伴うように炭水化物の摂取量を増やしていきました。
具体的には3日前のお昼くらいからですね。ランチはうどん大盛りとおにぎり、とか。
テーパリングで疲れが抜け、カーボローディングで身体が重くなりすぎることもなく、レース当日。
この日は気温は5℃前後、曇り空で風はほとんどなく。
言い訳のしようもないくらい絶好のコンディション。
事前の作戦としては、強烈なアップダウンが始まるのが15キロ過ぎから。
なのでそこまではキロ4分8秒のペースで突っ込んで、15キロから先は流れと状況に任せることにしました。
午前9時。いよいよスタート。
トイレも我慢して並んだので、好位置からの発進。
猛烈にダッシュをしていく人々に翻弄されそうになりましたが、冷静にキロ4分8秒を堅持しなくてはと同じくらいのペースで走る人を探します。
するとちょうどよさそうなペースで走るランナーを発見。
設定よりも少し速いペースですが、3〜4キロ進むもずっと正確に同じペースで安定して走っていたので楽につけます。
なのでいけるところまでこの人についていこうと決めます。
5キロの通過が20分3秒。
10キロの通過が40分30秒。この5キロが20分23秒。
5キロから10キロは少し上り基調だったのですが、それでも想定よりも速いペース。
そして奈良マラソン唯一の平坦区間と呼ばれる10キロから15キロの5キロ区間、ここの5キロを19分56秒で走ります。
最初の15キロを当初の予定よりも速く入ってしまったことが貯金になるのか借金になるのか、いささか不安を覚えながらいよいよ強烈なアップダウンに突入。
15キロから20キロ、強烈な上り。
とにかく前の人にくらいつき、リズムを合わせて少しでも楽をさせてもらいます。
まだまだ序盤、足を使いすぎないように気をつけ、途中意識的に力を抜いたりしながらこの5キロを21分7秒。
キロ平均4分13秒なので、上出来。
少し息はあがっているものの、まだ十分ついていけます。
そしてここから今度は強烈な下り区間。
下りは下りで足に負担がかからないように気をつけながら下っていきます。
その途中で中間点を迎えます。
ハーフの通過が1:26:24。
かなり速いようにも思えますが、後半のアップダウンでの失速を考えるとちょうどいいのかも。
20キロから25キロまでの5キロが20分21秒。
とにかく前のランナーについていたのですが、この5キロは下りがちということもありキロ4分を切るのかと思っていたらそんなに速くなく。
まあ下りで飛ばしてもいいことないもんな、と思い引き続きついていきます。
が、下りが終わり25キロを過ぎ、奈良マラソンのコースの目玉の一つ、巨大な天理教の施設付近を眺めながら奈良市街へ折り返していくあたり。
明らかに前のランナーのペースが落ちていることに気がつきます。
抑えていたのではなくて落ちていました。
ここからは自分でペースを作っていかないとタイムは出せないと前に出ていくことに。
30キロ手前から再び強烈な上りが始まりますが、腕をしっかりと振ってスピードの減少を最小限に抑えて上っていきます。
30キロの通過が2:03:09。この5キロが21分16秒。
落ちたけど、まだサブスリーペース。
上りはしばらく続き、33キロくらいまで。
ようやく上りきってさああと10キロ弱と思ったところで、今回もついにきた。痙攣の予兆。
右のふくらはぎがぴきっとします。
まだ貯金はたくさん残っているので、慌てず冷静に少しだけペースを落とします。
コースはちょうど下りの区間に入っていたのですが、攣りそうなときに下りを走るのは結構怖い。
自然にペースが上がってしまう分、余計に痙攣がきてしまいそうになります。
それでもとにかく意識して落とす。
35キロまでの5キロが20分58秒。
35キロ過ぎて、落ち着いてきます。
少しペースを戻しても大丈夫そう。
しかし、痙攣はやりすごせても、疲労の方はやりすごせない。
既に疲労はピークに達しており、ペースを戻そうにも上がらない。
前のランナーに追いつこうとペースを上げようとしても全然追いつけない。足がうまく回らない。
それでも必死に足を動かし、奈良市内に戻ります。
40キロの通過が2:45:40。この5キロが21分31秒。キロ平均4分19秒。
相当ペースは落ちてしまいましたが、この時点でようやくサブスリーを確信。
あとはどこまで記録を伸ばせるか、自分との戦いです。
が、そんなこと言ってももう全然足動かない。
今から猛烈に頑張ったら2時間55分も切れるんじゃない?なんて思ったものの、足がまったく言うことをきかない。
ラストの500mくらい、追い打ちをかけるような上りなのですが、歩いてしまおうかと思うくらい、そして歩いてしまうようなペースにまで落ちてゴールが待つ陸上競技場へ。
競技場に入りゴールの時間掲示板を確認すると2時間55分台後半。
せめて56分台でゴールしようと最後の力を振り絞ります。
そしてついにゴール。
手元で2:56:08、グロスで2:56:14。
記録を目標に本格的に練習をはじめて5ヶ月強、故障や失敗もありましたがなんとかサブスリー達成しました。
記録達成が嬉しいということはもちろん、これでいったん一休みできるというのがなによりも嬉しかったです。
特にツルマラソンからの2ヶ月弱、ずっと気を張った生活を送ってきていたので。
サブスリーを達成して
無事にサブスリーを達成して思うのは、フルマラソンで記録を出すためにはスピードだけでもスタミナだけでもだめなんだろうなということ。
今回の僕のように、1000mのインターバルを3分台でこなせたり5000mを17分台で走れるスピードがあっても記録は達成できないし、反対にキロ5分とか6分で50キロとか60キロ走りきれるスタミナがあったとしてもそれは記録には(直接は)繋がらないのだろうなと。
スピードとスタミナがうまく融合されてはじめて、フルの走力につながっていくのではないかと強く感じています。
そしてその融合に必要なのは、今回僕が最後の方に取り組んだような、ある程度速いペースでのロング走。
目標レースペース+10秒前後くらいのペースで30キロくらいの長さを走りこむことで、培ったスピードとスタミナが融合されていくのではないかと思っています。
雑誌でもネットでも30km走は有効って言われてますが、自分の体験からしてもこれは同意です。
付け加えるなら、 目標があるのならただ走るだけではなく、きちっとペースを作って走ることが重要だということですね。
もちろんしんどいです。30km走。
苦しくてもあっという間に終わるインターバルに比べて、地味に苦しい時間が2時間以上続くので。
ただその苦しさから生まれる果実はとても甘くて美味しいものでした。少なくとも僕の場合は。
これを書いている2017年4月8日現在、奈良マラソンを終えてから4ヶ月弱。
フルの記録を2時間45分台にまで伸ばした今も、この考えは変わっていません。
また新たな目標を立てながら練習を続けていますが、基本にあるのはスピードとスタミナの融合。
ある程度のスピードをつけて、それをスタミナと融合させていくという作業の繰り返しで進んできたし、今後もしばらくそれでやっていこうと思っています。
サブスリーへのアプローチ方法は10人いたら10通りです。
現状、何が強くて何が弱いかというのは人によって異なりますから。
それでも僕のやってきた練習、僕の経験した成功や失敗が何らかの参考になれば幸いです。
関連:
初サブスリーへの道のり①〜前提編
初サブスリーへの道のり②〜目指したきっかけ
初サブスリーへの道のり③〜大まかな方針と夏のトレーニング
初サブスリーへの道のり④〜距離への耐性不足
初サブスリーへの道のり⑤〜距離を克服、まさかのハーフでの好走