2018年4月22日、チャレンジ富士五湖100kmに出場してきました。
結果は9時間47分。かろうじてサブ10を達成しました。
以下、レポートおよび感想(完走)記録。
今回の100kmの出場は、自ら狙ったものではありませんでした。
2017年末、いつもお世話になっているクラブのウルトラランナーの方に飲み会の場で誘われ、酔った勢いで申し込んだもの。
長らくこのブログをフォローしてくださっている人はご存知の通り、私は今ほどランニングにムキになって取り組む前に数度柴又の100kmを走っていました。1回目は10時間30分台、2度目はリタイヤ。
この経験もあることから、100kmはかなりの準備が必要なこと、レース自体かなり辛いこと、走った後のダメージは相当なものということを知っていたのでフルである程度結果を残せるまでは再びやるまいと思っていたのです。
が、酔った勢いとは恐ろしい。誘われたその場でスマホを取り出しRunnetから申し込み。
酔いが覚めた後に後悔したのは言うまでもなく。
とは言え申し込んでしまったからにはきちんと準備をしないとそれこそ怪我につながる。
ただ、フルのシーズンが終わるまでは超長距離の練習はできないので実際に準備を始めたのは3月中旬。
板橋City(マメで撃沈)が終わった後からでした。
大した時間は残されていないものの、
3/24 42キロ走(キロ4分26秒)
3/31 50キロ走 (キロ4分20秒)
4/07 50キロ走(キロ4分48秒)
板橋のフルも入れると4週連続でのロング走を実施しました。
それ以外の日も、普段のジョグは20キロ走るようにして、とにかく100キロに耐えうる足を作ることに専念しました。
3月の月間走行距離は600キロオーバー。板橋までは調整で距離を落としていたことを考えると、月の後半で結構な距離を走ったことになります。
最後の1週間はとにかく疲労を抜くことに専念して、いざ本番。
50キロ走をやった感覚では、9時間は切れるかなあという見積もり。
まあこの見積もりが相当に甘かったということは後々痛いほど知ることになるのだけれども。
一緒に出場するチームのメンバーと前泊し、朝3時前にスタート会場の富士北麓公園へ。
スタート時の気温は7℃。少しひんやりしていたけど、事前の予報ではここからかなり暑くなるということだったので、ランシャツランパンでスタートする。
ちなみに今回は、
・キャップ
・エネモチ(3個)をいれたフリップベルト
・足裏、股、乳首にProtect J1クリームたっぷり
という装備で臨みました。
そしていよいよ午前4時30分。スタート。
キロ4分30秒くらいで前半走り、そこから貯金を徐々に使い果たしていくという作戦にならない作戦を持って飛び出します。
が、ここでまず大きな誤算。
もともと「湖畔を走る」ということを聞いていたので、コースのほぼ全体がフラットだと思いこんでいたのですが、大間違い。
もちろん湖畔はフラットなのですが、湖と湖をつなぐ道路の起伏がものすごく多い。
スタート後も最初の湖、山中湖へ向かう道はまず長い下り。1キロくらいで高低差100mほどを下ります。その長い下りが終わったら、こんどは下りた高度を4キロくらいかけて上ります。それでようやくフラットな湖畔へ。
この起伏のせいで、ペース感覚はまったくわからなくなります。
ちなみにこれが高低差の図です。
次の大誤算。気温。
私は普段早朝に走るので、とくに冬場、日が上る前よりも日が上る直後くらいの時間帯が一番冷え込むということをよく知っていました。が、今回、その教訓を全く活かせず、スタート時が7℃ということ、その後日中は25℃を越えるだろうという予報とで、むしろ暑さの方に気を向けてしまい、スタート後に夜明けを迎える時点でさらに気温が下がるということを忘れていました。
正確には忘れてはいなかったのですが、気温が下がっても5℃くらいだろうと思っていたのです。
山をなめてました。実際には5時くらいの時点の気温は、道路上の電光掲示板によると2℃。ランパンランシャツで走るには猛烈な寒さとなりました。
お腹が弱いわたしはその時点であっという間に腹痛を起こし、当初いた先頭集団から離れ、ひたすらトイレを探します。
あ。そしてこのトイレ問題については、ぜひ来年以降100キロの部に出場するランナーの方に知っておいていただきたいこととして、この大会は午前4時、つまり100キロの30分前に最長118キロの部のランナーがスタートします。
100キロの部の人たちは、そのランナーの後になるので、100キロの部の先頭だとしても、その前にはたくさんのランナーがいます。なので給水も、トイレも、すでに人がいっぱいなのです。
給水はまあ別にいいとして、トイレ。
とりわけ低温でお腹を壊したときの退っ引きならない状態でトイレに行列ができているというのは、地獄です。
並んでもいいけど、ロスが増える。でも並ばずに他のトイレを探すと、トイレが見つかる前に色々終わる可能性がある。
結局僕は半べそをかきながらなんとか比較的列の短いトイレに並び、なんとか事なきを得ました。
が、これで先頭集団からは大きく離れてしまい、単独で走ることになります。
また、腹痛はこの1度では収まらず、気温が高くなる50キロ過ぎまで都合7回トイレに駆け込むことになります。
それでも山中湖をなんとか1周し、次の河口湖へ。
山中湖から河口湖へ至る道も長い上り坂。そして長い長い下り坂。
今回、お腹を壊したりなんだりとトラブルはありましたが、一番致命的だったのはこの長い長い下り坂だったと思います。
トイレのロスを取り戻そうと、下りをかなり飛ばしましたのですが、この下りが6キロくらい続いたのです。
山中湖を終えて2キロ位登ったなって思ったら6キロくらい下る。
事前の予想以上に長く続く下り坂。途中から太ももの前面が筋肉痛になってきます。
走っている最中から筋肉痛になるということは、相当なダメージだったのでしょう。
しかも走っている間はごまかせるタイプの痛みではなく、足を動かすたびに心に響くようなタイプの痛み。
坂を下りきり、ようやく2つ目の河口湖に到着した50キロ。タイムは3時間50分。トイレに7回も行った割にはかなり速いタイムですが、この時点で足はほぼすでに終わっていました。
2倍すれば8時間切れるじゃん、とかまず思わない。
ゴールすることすら危ういかもっていうくらいの足の疲れと筋肉痛。
ここからはあっという間にキロ5分30秒くらいのペースになり、前半ほどじゃないけれども、河口湖と西湖の間のアップダウン、西湖と精進湖の間のアップダウンをこなします。
そう、いまこれを書きながら気がついたのですが、結局このレース、湖畔の距離よりも湖畔と湖畔の間の距離の方が長いんです。
だから全然フラットなんかじゃないんです。
いや、誰ひとりフラットだなんて言ってないんですが、完全に「湖畔を走る」という言葉で幻想を抱いていました。
西湖に入る60キロ前後の頃にはすでにキロ6分ペース。さらにどんどんペースが落ちていきます。
それでも今回、自分に「エイド以外は止まらない、歩かない」って課していたので、どんなにペースが落ちても、どんなに上りがきつくても歩かずに走りました。
エイド以外って言っても、正規のエイド以外に私設エイドを出してくださっていたチームメンバーのところなどで止まったりもしたので、実際は結構休ませてもらったのだけれども。まあそれでも、いざそこを離れて走り出したら、次までは絶対とまらないぞと心に決めて。
筋肉痛の猛烈な痛みは、とくに下りの区間でひどく、声が出てしまいそうなくらいだったのだけれども、歯を食いしばりなんとか走ります。
そして4つめの精進湖を回って再び西湖に戻り、80キロ。
50キロ以降ずっときつかったけど、80キロから90キロの10キロが一番きつかった。
スタートしてすでに7時間以上。日は完全に上り気温は予報通りうなぎのぼり。
雲ひとつない青空から、強い日差しが首筋に強く差し込んで。
体を冷やすべく、冷たいドリンクを飲みたいのだけれども前半の腹痛と、あとは純粋な内臓のダメージで胃が水分をうまく受け付けない。飲んでも戻してしまいそうになる。
最小限の補給だけしながら、もう歩くような速度で、でも格好だけは走るフォームで前に進む。
そしていよいよ山中湖。ここから一度町中に出て、ゴールでもあるスタート地点の北麓公園に向かいます。
そしてこの区間はチャレンジ富士五湖でもっとも悪名高いと言われる、最後の最後に延々と続く壁のような上り坂。
そう。要するに、私が前半で足を破壊した延々と下った6キロ、これを延々と上るんです。
下ってきたからには上らないと戻れないんです。
前を見ると、消失点まで終わりが見えない上り坂。
坂の途中では、先行ランナーがゾンビのように歩いたり走ったり歩いたり。
私はというと、ここまできた安心感で少し元気を取り戻しており、坂は足を止めることなく上ります。
途中でパスしたランナーに「すごいですね、この坂どこまで続くんですか?」って聞かれたのですが、私にもわかりません。
「きっともうすぐだと思います」って答えたのですが、その後20分くらいしても坂が終わらないので、大嘘をついてしまったなとちょっと反省します。
そんなこんなで91キロ過ぎから始まった坂が97キロでようやく終わり、あとは下り。
みんなは嬉しいのだと思うけど、私は下ると筋肉痛が猛烈に痛い。
ただ、時計を見るとサブ10ギリギリのラインなので、とにかく急がなくてはと「いたいいたいいたいいたい」って声に出しながらかけおります。
ここまでくると周りにいる人達全員消耗しているので、多少奇声をあげたところで誰も気にしません。
ゴールの競技場が見えたらあとはもうダッシュ。もう1秒でも早く終えたいとの思いでダッシュ。
で、9時間47分。
ゴールして、チップ外してもらって、荷物を預けた体育館に戻ってちょっとしゃがんだらもうそこから立てない。
30分以上立てない。
靴を脱いだら脱いだ瞬間に足つって絶叫。
ただし、今回の秘密兵器、プロテクトJ1を塗った足の裏はまったく無傷でした!
ターサー履いてたし、さすがに100キロだし、多少の傷みは覚悟していたのですが、100キロの行程で一度もマメができることなく。また、股と乳首にも塗っていたのですが、こちらも無傷。
素晴らしい働きをしてくれました。プロテクトJ1。本当におすすめ。
きったない足を晒して申し訳ないのですが、そして「え?ボロボロじゃない?」って思うかもしれないのですが、これはもともとです。100キロ走った後もマメはなく、足裏だけに関して言えばまったく痛くありませんでした。
終わってみて思ったのは、練習が足りないとかそういうことよりも、コースや環境に対する事前の知識が足りなすぎたなと。
あれだけ起伏があるということをあらかじめわかっていれば、もう少し賢いペース配分ができたし、失速率ももう少し小さくできたと思っています。
もちろん練習が足りなかったというのも事実なので、次に挑戦する際はもうすこし準備をして臨みたいと思います。