最初は8Gで十分って思っていたものの・・・
21.5インチ、Late2012モデルのiMacを仕事で利用しています。購入検討時の用途としては、
・Webブラウジング(調べ物程度)やメール
・エディタを利用したプログラミング(実行はリモートサーバー)
・リモートサーバーへの接続と操作
・オフィス系ソフトの利用
など、そこまで負荷がかかる作業を行わない想定だったため、8Gのメモリと1TBのHDD容量でオーダーをしました。
ずっと2009年モデルで頑張ってきていたので、届いた当初はかなり快適に仕事をすることができていました。
ただし、快適な状況におかれるとさらに欲が出てきてしまうのが人の常。
私の場合はこの快適なマシン1台であらゆる仕事をこなしたいと思うようになり、必要な(そうでもないものも)アプリケーションを片っ端から入れるようになってしまいました。そして最終的には、上記の用途に加えて、
・仮想マシン(VMWare Fusion)でWindowsを同時に立ち上げ、Windowsのアプリも利用
・Photoshopで画像編集
・データ分析のために、スクリプトでWebから数分おきに数MBのデータを収集
などとメモリを食いつぶしてしまうような作業が増え、さすがに快適とは言えないような速度になってきてしまい「こんなはずでは・・・」とつぶやく日々が到来しました。
Late2012以降の21.5インチiMacは自分でメモリ交換ができない
メモリが足りなくなったら増設すればいいわけです。通常のデスクトップPCであれば筐体のフタをぱかっとあけて、スロットにささっているメモリを差し替えてやれば完了。私が自宅で使っている2009年モデルのiMacも本体下部の通気孔メッシュの一部をネジで外すだけで比較的簡単に交換できました。
しかしながら、Late2012以降の21.5インチiMacはそう簡単にはいかないのです。これらのモデルに搭載されているメモリは、本体の奥深くに配置され、公式では「ユーザーはメモリにアクセスできません」とされています。だからメモリの容量はオーダーする時点で決まってしまい、自分で増やすことができない。
しかも、「メモリ増設してください!」とAppleStoreに相談しても、AppleStoreでは受け付けることができませんと言われてしまうのです(少なくとも私はそうでした)。その代わり、Appleと提携?している業者さんにメモリと本体を持ち込めば増設することはできますよ、といくつか店舗の紹介はしてくれます。が、まあ当然のことながら工賃は少なくともお安くはないわけで。
今までは自分で、工賃なんてかからずにやってきた作業だけになおさら・・・でも背に腹は変えられないかなあなどと逡巡すること数日。
個人でのメモリ交換はできないわけじゃない
ただ、個人でメモリを交換することが全く不可能かというとそうではないんです。メモリが特殊な器具で固定されているとかそういうことではなく、とにかく本体の奥深くに配置されているので、そこに至るためには、かなり本体をばらさないとたどり着けないということなのです。
特にLate2012のiMacはあの薄さを実現するためにスペースを極力減らし、ディスプレイやらロジックボードの密度を高めています。それだけに、それらを分離させるのはなかなか難しい。
とりわけ関門であると言われているのは、
・そもそもディスプレイがネジやマグネットで固定されているのではなく、強力両面テープで固定されている
・メモリはロジックボードの裏にあるため、ロジックボードまではずさなくてはならないが、ロジックボードに繋がっているケーブル類が多くて厄介
という2点です。ディスプレイが両面テープで固定されているので、ディスプレイを外すにはテープを剥がすということ。剥がしたテープは粘着力が下がってしまうので、戻す際には何らかの形で補強しなければなりません。
また、ロジックボードのケーブルは、一つ一つが細いのと数が多いので、作業にかなりの慎重を期す必要があります。接合部を傷つけたり取っちゃったりしたら目も当てられません。
ただ、これらに関しても不可能かと言われると別にそんなことはなく、作業的にはある程度の機械いじりの経験とそれなりの工具さえ用意できれば何とかなるレベルのものです。
じゃあ僕でもできるのでは・・・と数日考えた結果ついに決心、自分でメモリを交換することにいたしました。これ壊しちゃったら仕事がまったくできなくなるのでかなり背水の陣です。
メモリ交換に際しての準備〜メモリ
そんなわけで私が用意したのは以下のものになります。
・メモリ Transcend製 16G
※追記(2014/04)
上記は品薄状態になっているようですね。2012、2013のiMacについては、
-PC3-12800
-バッファなし
-パリティなし
-204ピン
-1600 MHz DDR3 SDRAM
の条件を満たすSO-DIMMメモリであれば大丈夫です。
くれぐれも普通のDIMMメモリを買わないようにしてくださいね。サイズ合わないですから。
あと、Amazonなどで調べるとPC3-12800というものとPC3-10600っていうものがあると思いますが、PC3-12800のものを選んでください。
(もし,Mid 2010からMid 2011モデルのiMacをご利用でメモリ交換をされる方は、PC3-10600を選んでください。)
他のiMacのモデルの場合やメモリの選び方がよくわからない場合は,iMacのメモリの選び方についてという記事をまとめましたので参考にしてください。
今だと以下のようなものです(8GBメモリなので,16GBにするなら2セット必要です).
メモリ交換に際しての準備〜工具その他
・トルクスドライバー T10 T7の2種類
iMac内部で使用されているネジは通常のネジとは異なり、星形の特殊な形をしています。ですので普通のドライバーでネジを外したり止めたりすることができません。
T10 T7というのはトルクスドライバーのサイズです。
・ピンセット
・両面テープ
です。ピンセットは必須ではありませんが、ないとあるとでは作業のしやすさが段違いだと思います。
両面テープはディスプレイを戻すときに必要です。海外で純正品を売っていたりしますが少し高価です。私はまた開ける可能性があったのでとりあえず間に合わせ的なものを選びました。
いよいよ作業
・まずは接着剤を剥がしてディスプレイをはずします。ネットを見るとギターピックを使ったりしてやっておりますが、私はそんなおしゃれなものを持っていないので漫画喫茶のカードで代用しました。ディスプレイの隙間に差し込める薄さである程度の硬さがあるものであれば大丈夫です。
・こんな感じで一周していきます。ヒートガンやドライヤーの熱で接着を弱めて剥がすという方法を取る場合はある程度接着力が残っているため作業後そのまま戻しても大丈夫のようですが、こんな感じでがりがりはがしていくとほとんど接着力は残りません。ですので代わりのテープを用意する必要があります。
・接着剤を剥がし終えたら、ディスプレイを上からそーっと外します。その際、ディスプレイとロジックボードに2本のケーブルが接続されているので、これを外してからディスプレイを外します。ケーブルもディスプレイも簡単に外れます。落とさないように細心の注意が必要。ちなみに私はこの写真をとった直後に落としました。幸いディスプレイにヒビなど入らず、セーフです。いや、無駄に嫌な汗をかきました。
・ディスプレイをはずしたところ。ロジックボードが左下と右側の2つに部分にわかれています。目的地のメモリは右側のロジックボードの左上の「裏側」にあるので、このままでは換装できません。ロジックボードをはずして裏返さないといけないのです。そして右側のロジックボードを外すためにはHDD、中央ファン、左下ロジックボードをすべてはずさないといけないので、ほぼ全分解しないと到達できません。ここがメモリ交換を困難に、そしてAppleが「ユーザはメモリのアクセスできない」と表明している所以です。しかしここは果敢に挑んでいきます。
・まずはHDDをはずします。ここからの作業はほとんどT10サイズのトルクスドライバーで大丈夫です。HDDは4本のネジを外すだけで簡単に外れます。
・コネクタも抜いて、HDDの除去は完了。HDDの交換は比較的楽です。SSDとかに変更したい場合はこれで終了。
・続いて左下ロジックボードの取り外しに着手します。コネクタが左下のロジックボードにささっているので気をつけて外します。
・2本のネジを外し、取り外しにかかります.このロジックボード、本体下部にガードのようなものがついていて、それが邪魔をしてなかなか引っこ抜けません。無理に引っ張らずに、少しずつ動かしながら抜いていきます.
・さて、いよいよ右側のロジックボードにとりかかります。まずはささっているコネクタを外します。
・ここも外します。どこに何がささっているか忘れないようにします。メモをとるのは面倒だと思うので、写真をとっておくといいと思いますよ。
・本体上部からの細いケーブル4本、これはあまり力任せにとるとあぶないのでピンセットなどで慎重に外します。ボタンのような感じではまっているので、先端をつまんでくいってひねる要領でいきます。
・ロジックボード右下の四角いボタンのような端子がついているケーブル。見落としてしまいそうですが、これも外しておく必要があります。これもピンセットなどで慎重に。
・全部コネクタを外したら、ネジも外してロジックボードを取り除きにかかります。写真撮り忘れてしまいましたが、本体中央、ファンがあった下の部分までロジックボードの一部です。そこのネジも外します。その部分はトルクスドライバーのT7サイズが必要です。
この取り外しに少し時間がかかりました。下がつっかえてうまく抜けないんです。そこで少しずつ、無理にならないように動かして、ようやくとれました。勝利目前。メモリはこの裏です。
・裏返してメモリ外しました。メモリの外し方、付け方は今までのモデルと変わりません。
・装着!!!ここがおそらく一番楽な作業なのではないかと(笑)
・装着したらもとに戻していきます。コネクタのつけ忘れなどに注意してください。
・ディスプレイを再び固定するために別途両面テープを用意します。金属を固定するのでなるべく強力なものを選ぶようにしてください。私はこれを縦に半分に切って利用しました。
・そして再び電源を入れます。最初電源が入らずに真っ青になりました。もう一度中を開けてみたら、コネクタが一本抜けていました。きちんとはめて再びチャレンジ。無事に起動し、メモリも認識してくれました!
作業を終えてみて
作業中は手こずったりして嫌な汗かいたりもしましたが、作業工数自体はそれほど多くないんですよね。
ただまあ、やっぱりメモリはオーダー時にケチらないほうが余計な苦労はしなくていいですよね。
もし同じように自力で作業してみようという方がいらしたら、上記が少しでも参考になれば幸いです。
くれぐれも注意していただきたいことは、作業中に万一のことがあっても保証とかは受けられなくなってしまうと思うのであくまで自己責任でやってくださいね。
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